漢字・ことば・学習などの下村昇のweblogです。執筆中の本のこと、漢字の見方・考え方、日々感じたことなど、気ままに綴っています。


by (shimo)

若ぶり・言いふらし・見栄っ張り

見苦しく、聞き苦しいもの(日常生活)
若ぶり・言いふらし・見栄っ張り

a0005532_7215810.jpg仕事に夢中になっていて、自分が年取ったのも忘れていた。体中あちらこちらに故障が出てきてやっと気付いた次第だ.
(これは11/19日に書いたものだが、もう一度載せさせていただこう)

 「若作り」ということばがある。年齢より若くみえるような化粧や服装をすることをいうが、それが一概に見苦しいともいえないのではなかろうか。今では白髪染めを使って若くみせようとしたり、カツラをかぶって頭髪の薄くなったのをカモフラージュしたりする人も増えてきた。それらも一種の若作りといえよう。
齢五十くらいになって、頭髪に白いものが見え始めると染める人も増えるのだろう。白髪が老いの象徴だという観念が誰にもあるからだ。

兼好はいう。
『四十の坂を越した人が色めきたる方(好色の心を密かに抱いて)、自ずから忍びてあらんは(人に知られないようにしているのは)それも致し方もないかも知れないけど……。しかしねえ、男女関係のことについて、おおっぴらに、他人の身の上やうわさまで、面白がってしゃべったりする人がいますがねえ。あれは年にも似合わず見苦しいものですなあ』と。(第百十三段)

 その典型はテレビだ。〈ゴシップに運搬車は要らない〉という諺があるが、現代ではまさしくテレビがゴシップの運搬車になっている。毎日まいにち、人のスキャンダルをよく飽きもせず……といった格好で取り上げている。その時間帯が朝の七時台から八時過ぎ、あるいは午後の一時過ぎ、しかも何度も何度も同じ映像を使って流す。こうした番組は視聴率がいいからというのだろうが、見たくない人間にとってはうんざりだろう。

 多くの場合、「人が知ろうとするのは、それを語らんがため」、それだけ世の中にはおしゃべりが多いのだと思っているのだろう。見たくない人はチャンネルを替えるなりスイッチを切ればいい。「どうぞご随意に」と放送関係者はいうのであろうが、あまりにも厚顔であり、公共の電波を使うについては文化度が低次なのではなかろうか。

a0005532_7155726.jpg 人間、おしゃべりしたいものばかりでないことも放送関係者は知ってもらいたい。荀子(中国戦国時代の思想家)のことばを借りれば「愚者(テレビ)は次から次へと根のないうわさ(?・か、どうかは知らないが)を伝えていくが、知者(一般聴視者)はおのれの中にしまい込むからあとへは続かない」のである。

 ところで、兼好法師のことばには続きがある
『だいたい、見苦しく聞き苦しいものは、
(1)老人なのに青年らにうち混ざって面白がらせるつもりで話をすること。
(2)つまらぬ身分でありながら、世にときめいた人を親しい間柄のように言いふらしていること。
(3)貧家であるくせに、よく酒宴を催し、お客を呼んで派手にやっていること。』                  (第百十三段)だという。

 (1)は老人が「若ぶるのはみっともない」ということであろうし、(2)は「自分は有名人と知り合いだと自慢したがる癖」。そういえば、よくいるらしい。一度何かの折りに講演を聴いただけ、あるいはたまたま書店でその人の本を買って読んだだけなのに、あるいはたまたまサインしてもらっただけなのに「あたし、知ってるわ」とか、「あたし、その人と知り合いなのよ」という人。こういうのを「鼻持ち(が)ならない」という。一種の自己顕示欲なのだろう。
さらに、(3)は「見栄っ張り」、自分は多大のローンを抱えて毎日の生活も四苦八苦、やりくりが大変で子供の給食費も滞りがちだというのに、盆暮れには必ず担任に付け届けをする人。さらには、来客に酒や寿司を振る舞い、帰りにおみやげまで持たせるような人。何年か前、そういう人がいて丁重にご辞退申し上げたことがあったっけ。

論語では「衣食を気にして見栄を張るようなやからは、共に修業を目指す相手としては価値がない」といっている。何事につけても「見苦しきこと、子どもは見ないようでもしっかりとみている」のである。親たるもの、心すべきことなり。※※

挿絵は上が若振りのつもり。下が荀子/ウイキメデア・コモンズから)
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by n_shimomura | 2011-12-02 07:11 | 兼好法師の子育て術 | Trackback | Comments(0)